公務員の種類・公務員試験スケジュール・採用データ
公務員とは
公務員は、憲法により「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定されており、公のための仕事に携わる者を指します。すなわち、国や地方自治体等で、公共サービスを執行する職員のことです。営利を優先する民間企業とは目的が異なり、国や地域社会がより安定し、人々が安心して暮らせるように、さまざまなサービスを公正に提供する、とてもやりがいのある仕事です。近年は女性の志願者も増えており、特に国家公務員においては女性の採用者が約4割を占めるまでになっています。
公務員は大きく分けて、「国家公務員」と「地方公務員」の2種類に分類されます。
国家公務員
国の行政機関で働き、国全体の政策や制度の企画・立案とその実行や運用を担当します。働く場所は、中央省庁(例:財務省、経済産業省など)やその地方出先機関(例:北海道財務局、北海道経済産業局)などです。職種には「総合職」「一般職」「専門職」「特別職」などがあり、それぞれ役割や業務内容が異なります。
地方公務員
都道府県や市町村などの地方自治体で働き、地域住民に直接関わるサービスを提供します。公務員全体の約8割は地方公務員が占めています。働く場所は、市役所、区役所、町村役場、地方の教育機関や消防署、警察署などです。職種には一般行政や警察事務などの事務系のもの、農業や土木、機械や電気などの技術系のものがあります。また、都道府県警察で働く警察官や、消防官なども代表的な地方公務員といえるでしょう。
種類 | 特徴 | 採用試験の対象など | |
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国家公務員 | 総合職 | 「政策の企画立案等の高度の知識、技術又は経験を必要とする業務に従事する係員」と定義しており、将来の幹部候補とされる。一般に「高級官僚」「キャリア職」とも呼ばれる。総合職は、採用試験の試験区分によって「事務官」と「技官・技術職」の2つに区分される。 | 大学院修了者の枠と大学卒業程度の枠が設けられている |
一般職 | 「政策の実行やフォローアップなどに関する事務をその職務とする係員」と定義している。政策の実際の運用や実行などを担当し、現場での実務を支える役割を担う。 | 大学卒業程度の枠と高校卒業程度の枠が設けられている | |
専門職 | 専門的な知識が必要で、勤務する官庁を限定して特定の分野の仕事に従事する国家公務員。専門的な学歴や資格、経験が求められることが多い。 大学卒業程度の採用枠は、皇宮護衛官(大卒程度)、法務省専門職員(人間科学)、財務専門官、国税専門官、食品衛生監視員、労働基準監督官、航空管制官、海上保安官。高校卒業程度の採用枠は、皇宮護衛官(高卒程度)、刑務官、入国警備官、税務職員。 |
大学卒業程度の枠と高校卒業程度の枠が設けられている | |
その他 (特別職) |
特定の職務や地位に任命される職員。具体的には大臣や国会議員、裁判官、防衛省職員、自衛官などを指し、公務の中でも特別な役割を担う。特別職に就くための共通の試験や資格などはなく、特定の任命や選挙などによって選ばれる。 | 特定の任命や選挙によって選ばれる | |
地方公務員 | 事務系 | 都道府県の役所やその出先機関で一般事務に従事。そのほか、学校事務(公立)・行政事務・警察事務などがあり、自治体によって種類が分かれている。学校事務は主に小学校・中学校が中心。 | 上級:大学卒業程度 中級:短期大学卒業程度 初級:高校卒業程度 |
技術系 | 電気、機械、土木、農業、建築、林業など専門知識を活かした業務に従事。専門的な知識と技術を活かして、インフラ整備や環境保護などに携わる。 | 上級:大学卒業程度 中級:短期大学卒業程度 初級:高校卒業程度 |
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警察官 | 地域社会の安全と治安を守るために活動し、事件や事故の対応、犯罪の予防に従事する。採用は各都道府県単位で実施。 | 警察官A:大学卒業程度 警察官B:高校卒業程度 |
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消防官 | 火災や災害時の救助活動のほか、市民の防火・防災意識の向上に努める。危険な状況下での活動が求められる。採用は各市町村単位で実施(東京は都単位)。 | Ⅰ類:大学卒業程度 Ⅲ類:高校卒業程度 |
公務員試験のスケジュールや試験内容
公務員試験の受験資格
実は、公務員試験の受験資格に年齢制限はありますが、学歴は基本的に関係ありません。例えば、試験ごとに「高卒程度」「大卒程度」というふうに表記されていることがあります。これは受験に必要な学歴ではなく、「高卒・大卒程度の知識レベルが必要」という試験の難易度を示しています。ただし、国家公務員の総合職採用試験の大学院卒業者枠のように、稀に学歴制限がかけられていることもあります。また、警察官や消防官の採用試験においては、学歴で受けられる試験が制限されています。
公務員試験のスケジュール
一例を挙げると、国家公務員採用一般職試験や専門職試験の場合、大学卒業程度を対象にした採用試験が先に実施され、高校卒業程度を対象にした採用試験は 3 ヶ月程度後に実施されています(下図参照)。国家公務員採用総合職試験の場合、国家公務員採用一般職試験よりさらに前に、大学卒業程度と大学院修了者を対象にした試験が行われています。なお、地方公務員試験のスケジュールは各自治体で異なっているため、各自で確認する必要があります。
採用までの流れの例(国家公務員採用一般職試験・2024年度の場合)

試験内容(一例)
国家公務員一般職 (高校卒程度) |
国家公務員一般職 (大学卒程度) |
地方公務員(初級) | 地方公務員(上級) | |
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1次 | 基礎能力試験 (多肢選択式) |
基礎能力試験 (多肢選択式) |
基礎能力試験 (多肢選択式) |
基礎能力試験 (多肢選択式) |
適性試験 (事務、税務のみ・多肢選択式) |
専門試験 (多肢選択式) |
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作文試験 (事務、税務のみ) |
一般論文試験 (行政区分のみ) |
作文試験 | 小論文試験 | |
専門試験 (技術、農業土木、林業のみ・多肢選択式) |
専門試験 (行政区分以外・記述式) |
専門試験 (技術系のみ) |
専門試験 (技術系のみ) |
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2次 | 人物試験 | 人物試験 | 人物試験 | 人物試験 |
身体検査(税務のみ) | ‐ | ‐ | ‐ |