観光業界の今
コロナショック後の業界の課題とは?
「人材の確保」と「効率化」が決め手に2007年、第一次安倍内閣の時に、国は産業興隆のひとつとして観光立国を重要な施策に位置付けました。そこで目玉として施行されたのが、観光立国推進基本法です。2010年には、日本の伝統的な文化、食品の他、新しい魅力として日本で独自進化した「音楽」「映画」「アニメ」「漫画」「ファッション」を世界に発信する「クールジャパン戦略」が強化されました。そして震災後の2012年、折からのLCC路線の増加とともに急激な円安が始まり、インバウンド観光客が急速に増加しました。
これまでの日本は、「遠い」「高い」「魅力が少ない」国と言われてきましたが、この時期から一転、「気軽に行ける」「安い」「たくさんの魅力がある」国へと変貌したのです。2005年に年間の訪日観光客は673万人だったのが、2024年には、6倍近くの3680万人に達しています。
こうした施策は地方経済の活力を高め、これまで埋もれていた観光資源を掘り出すことに成功し、一大産業となっています。コロナショックで一度は停滞したものの、日本も世界的な観光立国に肩を並べたのです。
しかし、日本はまだまだインバウンドの歴史が浅いのも事実。加えて日本は国土が狭く、公共交通機関が発達し、観光地が市民生活圏と接近しています。文化の違いを持った人々が生活圏近くに押し寄せると、たちまちキャパシティを越えてオーバーツーリズムに陥ります。加えて過去デジタル大国だった日本は、今やデジタル後進国となり、キャッシュレス経済もあまり整備されていません。
そこで「語学力があり」「市場のニーズを把握し」「他国との文化的な摩擦を解決してくれる」そして「ITリテラシーのある」人材が求められています。そういった人材は、日本人・外国人を超えて、非常にニーズがあります。


インバウンド観光客をさらに増加させる取り組みとは?
各段階に分けて、観光の志向を把握する現代の観光客の行動は、「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」と3つの段階があると言われています。「旅マエ」は旅行前の情報収集期。その時期はSNSや動画サイト、アプリなどでのプロモーションが重要です。例えば中国であれば「春節」、アメリカであれば「イースター」、ヨーロッパでは「バカンスシーズン」において、旅行を計画する人が多いです。その時期に向けて、各言語に対応したプロモーションやサービス情報の提供が重要になります。
「旅ナカ」は、観光客が滞在中に体験すること。食事をする際の人気店や人気スポットの情報を集めたり、モノを購買する時に、「どこで売っている?」「どのくらいの価格帯か?」の情報も必要となります。こうした行動がストレスなく達成でき、満足度も高ければ、リピーターを増やすことができ、また口コミで訪問客を増やすことも可能です。
最後の「旅アト」は、旅行後の体験共有にあります。実際に好印象を発信してもらうことで、新規顧客を増やすことにもつながります。またお土産として一度買ったものが高評価であれば、ECサイトでの購入に期待もできます。
このような、観光客の行動パターンについて適切な分析が出来ていれば、ニーズに合致した高いサービスを提供でき、より高い客単価に繋げることもできます。

インバウンド観光の未来とは?
デジタル・マーケティングに強い人材が求められるインバウンド観光のこれからの成長に必要な要素はデジタル基盤の整備です。特にマーケティングの分野における顧客動向の把握、及び対外発信力の強化、そして決済のキャッシュレス化はまだまだ発展途上にあります。
観光地の魅力だけに乗って、人を集めて宿泊と「おもてなし」を提供するだけではこれ以上の発展は難しいと思われます。特に海外からの観光客を呼び込むためには、言葉の壁、文化の壁、通貨の壁があります。地方の観光地も小規模店舗も外国からの観光客に向けた対応が必須です。来訪する側も受け入れる側もストレスなく、トラブルも最小限に留めなければ、手軽に来訪してもらうことはできません。そこで、業務そのものをトータルでボーダレス化・DX化できるような人材が、観光業界には求められているのです。

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